地図で見る都営バス - ふたつの世界と、海より低いバス停

この記事は約 3 分で読めます 最終更新日: 2026-08-10

地図に広げると、別の顔が見えてくる

時刻表の数字でながめた都営バス (数字で見る都営バス) に続いて、今度は地図の上に路線網を広げてみます。すると、バス停でバスを待っているだけでは気づけない、路線網ぜんたいの意外な姿が見えてきます。本記事の数値は 2026 年 8 月 時点のダイヤと停留所の位置に基づく当サイト調べです。

都営バスには「ふたつの世界」がある

都営バスの全 151 系統を地図に置くと、路線網は 1 つのつながった網ではなく、完全に離れたふたつのまとまりになっています。都心側の 141 系統 (1,484 停留所) と、青梅側の 10 系統 (189 停留所) です。

ふたつの世界は、停留所を 1 つも共有していません。いちばん近いところでも、青梅側の東の端 花小金井駅北口 から都心側の 阿佐ヶ谷駅前 まで 11.4 km 離れています。つまり、都営バスをどれだけ乗り継いでも、都心から青梅の系統には乗り換えられません。同じ「都営バス」の中に、互いに独立したもうひとつの世界が息づいている。地図にして初めて見える、路線網の大きな骨格です。

乗り継ぎの果てへ - バス 7 本の大旅行

では、つながっている都心側の中なら、どこへでもすぐ行けるのでしょうか。ためしに「都営バスだけを乗り継いで移動するとき、いちばん多くの本数が必要になる組み合わせ」を探すと、答えは 食肉市場前 (港区) から 春江町五丁目 (江戸川区) への移動で、なんと バス 7 本。乗り継ぎの一例はこうです。

品 98 → 品 93 → 品 97 → 早 77 → 上 58 → 上 23 → 平 23

東京の中の移動なのに、まるでバスの旅番組のような行程になります。もちろん実際には電車を使えばずっと早く着きますが、「バスだけ縛り」の壮大な旅を想像してみるのも、地図ならではの楽しみです。ちなみに全部の組み合わせを平均すると約 3.44 本。多くの場所へは 2〜3 本で届きます。

となりのバス停まで 27 m、または 5.5 km

バス停とバス停の間隔にも、大きな振れ幅があります。いちばん近い「おとなりさん」は 足立区役所 と 足立区役所前 で、その距離わずか 27 m。バスが走り出したと思ったら、もう次のバス停です。

反対にいちばん遠いのは、品 98 の 大田市場北門西 から 品川駅港南口 までの 5.5 km。市場のまわりをノンストップで走り抜ける区間で、直線距離にして山手線の数駅ぶんを、途中停留所なしで移動します。

海より低いバス停が 238 か所

今度は地図を縦に、つまり高さの方向にながめてみます。都営バスの停留所でいちばん高い場所にあるのは、青梅の山あいを走る 梅 76 甲 の 上成木 で標高 302.5 m。いちばん低いのは江東区の 北砂五丁目 で、標高はマイナス -3.1 m、つまり海面より低い場所にあります。

実は、海面より低い停留所は 1 か所だけではなく、全部で 238 か所。江東区や江戸川区に広がる、地盤が海面より低い地域を都営バスがきめ細かく走っているためです。一方、山側では 1 つの系統の中の高低差が最大 136.6 m (梅 76 甲) になり、同じ「都営バス」が海抜下と山の中腹の両方を守備範囲にしていることがわかります。

都営バスなのに、埼玉県のバス停

「東京都交通局のバスは東京都内だけを走る」と思いきや、地図をよく見ると県境の向こうに停留所があります。上畑・下畑 (飯能市) と加賀中学校入口 (川口市) の停留所は、いずれも埼玉県内。梅 74 甲・梅 74 乙・里 48-2 の各系統が、県境を越えて埼玉県へ乗り入れています。

また川の上に目を向けると、青梅側の 梅 74 甲 は蛇行する多摩川を 1 乗車で 10 回も渡ります。車窓の右に左に川が現れる、ちょっとした橋めぐりの旅です。

同じ行き先なのに、一度も出会わない 2 本

地図ならではの発見をもうひとつ。渋 88 と都 06 は、どちらも 新橋駅前・渋谷駅前を結ぶ系統です。ところがこの 2 本、途中で共有する停留所が 1 つもありません。渋 88 は六本木・虎ノ門を、都 06 は恵比寿・麻布十番をまわり、同じ 2 地点の間をまったく別の道で結んでいます。

行き先表示だけを見ると同じに見えて、車窓の景色は別世界。どちらに乗るかで通る街が変わるので、目的地が途中にある場合は、どちらの系統かの確認が大切です。こうした「同じ起終点の別ルート」は、使い分けを覚えると行動範囲がぐっと広がります。

地図をながめたら、今日のバスを見に行こう

ふたつに分かれた路線網、バス 7 本の大旅行、海より低い 238 のバス停、そして埼玉県の停留所。地図の上の都営バスは、毎日の 1 本からは想像できないほど広くて立体的な世界でした。

そして、その地図の上を「いま」走っているバスの位置は、都バスどこのトップページでいつでも確かめられます。この記事で気になった系統があれば、ぜひ実物のバスが動くようすをながめてみてください。

本記事の数値は 2026 年 8 月 時点のダイヤ・停留所位置に基づく当サイト調べです。標高は国土地理院の標高データによります。

いまのバスの位置を確認する