都営バスの車内マナー - 優先席 / 通話 / 飲食 / 降車ボタンの作法

この記事は約 5 分で読めます 最終更新日: 2026-09-15

車内での過ごし方は「規則」ではなく交通局からの「お願い」

都営バスの車内での過ごし方に迷ったときは、東京都交通局が公式に呼びかけている「お願い」を骨格にすると判断がつきます。2026 年 9 月時点で交通局が案内しているのは、優先席付近では携帯電話の電源を切る車内での飲食は控える混雑時は乗車口付近で立ち止まらず奥へ進む降りるバス停が案内されたら降車ボタンを押して後ろの扉から降りるの 4 点です。この 4 つを押さえておけば、車内で戸惑う場面はほぼ残りません。

大切なのは、これらが取り締まりを伴う規則ではなく「ご遠慮ください」「お願いします」という形の呼びかけだという点です。ただの気配りの話でもありません。ひとつひとつに、車両の構造や運転士の視界、医療用機器への配慮といった理由が公式に添えられています。理由から入ると、初めてでも自分で判断できるようになります。

場面公式の呼びかけ添えられている理由
優先席付近での携帯電話電源をお切りください心臓ペースメーカー等の医療用機器を使う人が安心して乗れるように
優先席以外での携帯電話マナーモードにして通話はご遠慮ください他の乗客の迷惑にならないように
優先席必要な人に席をお譲りください立っての乗車が難しい人が座れるように
車内での飲食ご遠慮くださいますようお願いしますこぼれると座席が使えなくなり、においが車内に漂う
喫煙車内や停留場等は禁煙都営交通全体の扱い
立って乗るときつり革や手すりにしっかりお掴まりください両手が荷物でふさがった状態は危険
混雑時の立ち位置ゆずり合って奥までお進みください乗車口付近で立ち止まると運転席から左側が見えにくくなる
降車案内されたら降車ボタンを押し、後ろの扉から前の扉から降りると乗る人と接触する危険がある

以下では、この表の各行を公式の文言に沿って読み解いていきます。乗車から降車までの手順そのものは都営バスの乗り方ガイドにまとめてありますので、ここでは手順ではなく「車内でどう振る舞うか」に絞ります。

携帯電話 - 優先席付近では電源を切る

携帯電話については、都営バスは場所によって二段構えの呼びかけになっています。交通局のマナー案内は「車内ではマナーモードに設定の上、通話はご遠慮ください」とした上で、都営バスの優先席付近では電源をお切りくださいと続けています。つまり優先席から離れた場所ではマナーモードにして通話を控える、優先席付近では端末の電源そのものを切る、という区別です。

交通局のマナー案内は、優先席付近では「混雑時には」電源を切るとしたうえで、なお書きで都営バスの優先席付近では電源を切るよう求めています。バス側には混雑時という条件が付きません。条件の違いの理由は公式には説明されていません (2026 年 9 月時点)。理由も明記されていて、バスの利用方法のページでは「心臓ペースメーカー等の医療用機器をご使用のお客様に安心してご利用いただくため」と説明されています。

「電源を切る」という言葉のとおり、優先席付近では通話に限らず端末を動かさない形が求められています。優先席から離れた場所では、マナーモードにしておけば画面を見ること自体を控えるようには求められていません。急ぎの電話がかかってきたときは、車内で応じるのではなく降りてからかけ直すのが呼びかけに沿った対応です。

優先席は誰のための席か - 座ってよいのか

優先席について交通局が案内しているのは「各車両に優先席を設けてあります」という事実と、譲る相手の列挙です。挙げられているのはお年寄りお身体の不自由なお客様妊娠中や乳幼児をお連れのお客様ヘルプマークを身につけたお客様の 4 つで、この方々に席を譲るよう呼びかけられています。ヘルプマークが列挙に入っているのは、見ただけでは配慮が必要かどうか分かりにくい場合を想定した呼びかけと読み取れます。

よく聞かれるのが「空いていれば座ってよいのか」という点です。公式の呼びかけは席を譲ることを求めるもので、空席のときに座ってはいけないという案内は見当たりません。英語版のページでは、優先席の表示がある席に座っている場合は必要な方に席を譲るように、という書き方になっています。座ること自体ではなく、必要な人が来たときにどうするかが問われている席だと考えると分かりやすいはずです。

一方で、優先席が車内のどこに何席あるかは公式ページに具体的な記載が見当たりません (2026 年 9 月時点)。優先席には表示がありますので、乗ったら車内の表示で確かめるのが確実です。譲られる側の受け取り方や、混雑した車内での立ち位置については高齢者のためのバスの乗り方も参考になります。

飲食と喫煙 - 「ご遠慮ください」と呼びかけられている理由

車内の飲食について、交通局は「ご遠慮くださいますようお願いいたします」という言い方をしています。取り締まりのある規則ではなく呼びかけですが、理由がはっきり書かれているところが特徴です。よくある質問のページで挙げられているのは 2 点で、座席の上に飲み物をこぼすと他の乗客の衣服を汚したり座席が使用できなくなることにおいが車内に漂って他の乗客の迷惑になることがあることです。

この理由から逆算すると、自分で線を引けます。座席で弁当を広げるような食事は呼びかけの趣旨から外れますし、ふたのない容器の飲み物は、揺れや急ブレーキでこぼれる前提で考えたほうが安全です。一般に、水分補給が必要ならふた付きの容器で短く済ませる、においの強いものは降りてから開ける、という程度の配慮で足ります。体調や服薬の都合で車内でどうしても口にする必要があるときは、呼びかけよりも自分の安全が先です。

喫煙は扱いが別で、交通局は車内および駅構内や停留場等を禁煙としています。あわせて、電子タバコやその類似品の利用についてもご遠慮いただくという案内が出ています (2026 年 9 月時点)。停留所やターミナルも禁煙ですので、待っている間は吸えません。

混雑時に奥へ進むのは運転席から左側が見えにくくなるから

混んだ車内で「奥までお進みください」と呼びかけられる理由は、譲り合いの心構えの話にとどまりません。交通局は 2026 年 3 月末に出したお知らせで、乗車マナーの動画とあわせてこう説明しています。「混雑時に乗車口付近で立ち止まってしまうと、運転席から左側が見えにくくなり、とても危険です。安全のため、ゆずり合って奥までお進みいただけると助かります。」

ここが都営バスならではの事情です。23 区内の都営バスは前の扉から乗る前乗りのため、乗車口は運転席のすぐ隣にあります。そこに人が立ち止まると、運転士が左側を見るための視線をふさいでしまいます。つまり奥へ進むことは、車内にいる人どうしの気遣いというより、車外の歩行者や自転車の安全に直結する行動として説明されているわけです。

「もうすぐ降りるから前にいたい」と考えたくなりますが、23 区内は後ろの扉から降りる仕組みですので、前寄りに残る利点はありません。降車が近いときも、いったん奥へ入って後ろの扉の近くで待つほうが動きが少なく済みます。立って乗るときは、交通局が案内しているとおりつり革や手すりにしっかり掴まってください。荷物で両手がふさがった状態は危険と明記されていますので、片手は空けられる持ち方にしておくと安心です。混雑そのものを避ける工夫は満員バスをやり過ごす技術にまとめています。

降車ボタンはいつ押すか - 公式の言い方は「案内されたら」

初めて乗る人がいちばん迷うのが、降車ボタンを押すタイミングです。交通局の案内は明快で、「車内のモニタや音声で降りるバス停が案内されたら、降車ボタンを押して乗務員にお知らせの上、後扉からお降りください」と書かれています。つまり次に停まるバス停の案内が流れたら押すのが公式の言い方です。案内を合図にすれば、早すぎて手前のバス停で停まってしまうことも、遅すぎて通過されてしまうことも避けられます。

よく「1 つ前のバス停を出たら押す」と言われますが、これは乗り慣れた人の間で共有されている目安で、交通局が示している文言ではありません。押し忘れに気づいたときは、走行中に立ち上がって前方へ移動するのは危険ですから、一般には、その場から乗務員に声をかけるほうが安全です。

降りる扉も決まっています。23 区内の都営バスについて交通局は、「前扉から降車しますと、乗車されるお客様と接触し、怪我をされる危険性があるため、中扉 (後扉) からの降車をお願いしています」と説明しています。前の扉は乗る人の通り道だからです。ただし多摩地区の路線は仕組みが逆で、後ろの扉から乗って整理券を取り、降りるときは前の扉からになります。どちらの地域でも、一般に席を立つのはバスが停まってからにすると転倒の危険が下がります。

つまずきやすい点と、次に確かめたいこと

公式の案内を読んでいても取り違えやすい点が残ります。よく誤解される 4 つを整理しておきます。

  • 停留所で待つ位置 - 交通局は「停留所にどなたもいらっしゃらない場合、バスは通過することがあります」と案内しています。少し離れた日陰や店先で待っていると、乗る人がいないと判断されることがあります。バスが近づいてきたら行き先と系統番号を確かめて、のりばで待つのが確実です。
  • ベビーカー固定用の座席 - 表示と補助ベルトが設けられていますが、ベビーカー専用の座席ではありません。人が座ったままベビーカーを固定する場合がある、と交通局は説明しています。
  • 優先席の位置と席数 - 公式ページに具体的な記載は見当たりません (2026 年 9 月時点)。車内の表示で確かめてください。
  • 公式には書かれていない配慮 - 大きなリュックを背負ったままにしない、イヤホンの音を絞る、といった点は一般に言われることで、交通局の呼びかけとして明文化されているわけではありません。

交通局はマナー啓発のポスターも出していて、2026 年度は「忍者の道もマナーから」というシリーズで駆け込み乗車と歩きスマホを題材にしています。

乗車から降車までの流れをもう一度たどるなら都営バスの乗り方ガイド、席を譲られる側の受け取り方や乗り降りを楽にする工夫は高齢者のためのバスの乗り方にまとめてあります。都バスどこのトップページでは、いま走っているバスの位置とのりば別の到着見込みが地図で見られますので、混み合う時間帯を外して乗る目安にもなります。

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